晴空便り

エッセイスト・生け花アーティスト・末富晶の晴れた空へつながるブログ

新緑の季節に枝を伸ばして

 

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 <生け花 ”イヌコリヤナギリアトリス・レモンリーフ” 末富晶>

 

 

薄紅色の季節も過ぎ、

新緑の五月。

 

今年は去年の台風でたくさん木が倒れた影響か、

遠目にも山に新芽の明るい色が目立つような気がします。

 

命は存在を脅かされるほどの危機を感じると

かえってその生命力の勢いを増すことがあるけれど

 

根こそぎ倒された大木の横で、

途中で折れた枝からそれでも新芽を芽吹かせている木があるのを見ると

どうしても人間的な感性と重ねて

美しく貴く感じてしまいます。

 

 

最近、ありがたいことに生け花の仕事をさせていただく機会が増え、

ほとんどいつも、植物に触れている生活となっているのですが。

 

大きな生け込みの仕事の手伝いなど、

一日がかりで体力を使った後でも、

身体の疲れはもちろんあっても、ただ「疲れた」というだけではなく

むしろ朝よりも元気になっている部分を自分の中に見つけることが多いのです。

 

生け花は創作に関わる仕事と言えるから、

何かを創りあげる、その過程に関われることや、

完成したものを目にできる充実感がそうさせているのだと言うことも出来ますが。

 

個人的には、植物から何かを与えてもらっているのでは…という感覚に、確信に近いものを持っています。

 

重い水や枝をたくさん運んで、身体は間違いなく疲れているのに、

心はとても「さわやか」なのです。

 

お花を生けることで、植物と何かしらの交流ができているのだとしたら。

私が植物たちと触れることで元気になれるように、

私もまた、関わることで植物を元気にできるような人であれたらいい。

 

そんな風に、思います。

 

 

本を出させていただいたことで、

いつの間にか「不登校」といえば私、というように

学校に行っていなかった過去は、私と他の人を結んでくれるきっかけにもなってくれているけれど。

 

そのやり取りの中で、

 

今の社会はあまりにも

人間同士の関係性のみに大きく重点を置きすぎているのかもしれない。

 

そんな風に感じることもあります。 

 

 

人間社会で生きていくのが大変だと感じる時、

 

その同じ場所にはつねに、植物や動物たちの世界も重なって存在している。

 

 

ただ静かに座って、

植物の声に耳をかたむける。

 

 

そんな時間を大切にすることで

かえって社会との関わりへとつながりやすくなる。

 

遠回りに見えて、

実は全くそうではない。

 

そんなことも、あるのかもしれません。

 

 

 

 

色々あるけれど、

自分自身もまた、日を浴び、水やり、世話をして。

 

大樹のように、育っていけますように。

 

 

みなさんどうぞ、

よい初夏の季節をお過ごしください。

 

 

 

 末富晶 -Sho SUETOMI-



著書「不登校でも大丈夫」(岩波ジュニア新書)発売中です

www.iwanami.co.jp

 

 

 

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