晴空便り

エッセイスト・生け花アーティスト・末富晶の晴れた空へつながるブログ

よいお年を

 

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<華道壮風会・現代生け花 2017年12月 ギャラリー島田 出展作品>

 

「 閑座 」

 

波のない夜にじたばたしたとて どこへ行けるものでもない

 

月のない夜にきょろきょろしたとて 何が見えるものでもない

 

 

波はどこからやって来る

光はいつ現れる

 

 

風のある夜は畳に座り じっと静かに待つのみで

 

本当の私をつくる日は あるいはそうした時なのだ

 

 

 

 

 

 

今年最後の作品、

神戸のギャラリー島田にて、無事展示させていただきました。

 

華道壮風会の現代生け花・現代美術展の中の一作品に加えていただき、

今年の締めくくりにふさわしい、とても素晴らしく、実りある期間を作品と共に過ごさせていただきました。

みなさん、本当にありがとうございます。

 

 

仕込みも入れて5日間のうちのほぼ毎日、片道電車で一時間ちょっとほどの距離を通ったのですが、

その日によって行きや帰りの時間帯が変わり、

それにともなって乗客の数や様子も変わり、

電車に乗っている人たちの様子を目にするだけでもただ通り過ぎるにとどまらない色々と考えさせられる光景に出会いました。

 

冬の日暮れは早いとはいえ、まだ夕方の暗くなったばかりの時刻には

小さな子どもさんを連れたお母さんたちのグループも乗っていて。

4~5歳くらいに思える子どもたちはみんな一緒に座りたがるものだから

横ならびの電車の席の二人分のスペースに三人くらいできゅっと座って。

わいわい楽しそうにさわぐし、当たり前といっていいのかもしれないけど全くじっとしていない。

 

その中の一人の足でもあたったのか、

それとも騒ぐのが耳障りだったのか、

そちらにずっと注目していたわけではなかったので分からないのだけれど、

その子たちのすぐ隣に座っていた中年男性が

あるタイミングでとても煩わしそうに

その子たちにむかって唸るような恐い声を放った。

 

一瞬、辺りがシンとして。

子どもたちも空気を感じ取ってきゅっと縮こまって話さなくなり、

その前に立っていたお母さんたちは顔を青くして

早く目的の駅に着くようにととにかく待っている風だった。

 

それから2つくらい先の駅で、

子どもたちも、男性も、みんな一緒に降りていき

車内はまた別の空気に入れ替わったけれど。

 

同じ光景を見ていた当事者ではない私のような人たちの中には

いろいろな思いを持ってその小さな一つの出来事のことを思い返していた人もいたかもしれない。

 

男性に向かって、子どもにあんな風に怒鳴るなんて…とひどく感じる人もいるだろうし、

子どもたちの母親に向かって、もうすこし注意して行儀よくさせるべきだ…と考えていた人もいるだろう。

 

でも男性はもしかしたらすごく疲れてやっと座れたところだったのかもしれないし、

お母さんたちがどんなに頑張っても、あの子たちはやっぱりああだったかもしれない。

 

私はと言えば、

あの男性がこの先老人になって、

あの子たちの誰かはお医者さんとか介護士とかになっていて、

数十年ぶりに再会し、男性があの子たちの世話になる…という日が来ないとも限らないな。

 

と想像していた。

 

同じ時刻に同じ電車の同じシートに隣り合わせで座る確率はどれほどのものか正確には知らないけれど、

ともかくとても、縁があるのだろうから。

 

 

 

 

毎年そう思っている気がするけれど、今年は本当に色々なことがあり、

おかげさまで来年へと続く種もたくさん蒔かれた一年となりました。

 

来る2018年が、みなさまにとって素晴らしい年でありますように。

 

どうぞよい年をお迎えください。

 

 

   末富 晶

 

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